Endodontics
ラバーダムと言って、治療する歯のみを隔離し、唾液や浸出液などの細菌が入らない、器具の誤飲などを防ぐために海外では専門医と言われる結果を求められる歯科医師は必ず行うようです。
日本ではどうでしょう?我が国では根管治療の成功率は世界ワースト1と言われるくらいに根管治療が軽視されています。そこにはいろいろな原因が考えられますが、一番簡単な理由は感染に対して無頓着であるということです。我が国は島国であるという性質がら感染に対してとても無頓着な国と言われる場合もあるようです。
一方ヨーロッパではアフリカ大陸を始め多くの国が陸続きであることから、古くから隣国で感染症が起これば、他人事ではないという認識を強く持っているそうです。そのため、ヨーロッパ諸国ではとても感染に対して、高い意識があり、また国レベルでの規定も存在するそうです。
また、アメリカは訴訟社会ですので、論文上行わないことが患者の不利益につながる場合それは、重大な過失であるというように評価されるでしょう。そのため、アメリカでは感染の意識というよりは、訴訟に備えて、もしくは治療結果に対して、現在の我が国より厳しい目で評価されるために、行わざるを得ないでしょう。
まずは、いくつかの利点、欠点、論文を紹介させていただきます。
そこで患者様自身がまだラバーダム防湿をしない治療を受けることを望まれるか、一度考えていただけることをお勧めいたします。
ラバーダム防湿が必要な処置の代表例
1 根管治療
2 虫歯治療
3 セラミックスなどの審美修復
4 小児の治療
など、歯科治療の多くの場面で本来ラバーダム防湿が必要です。根管治療や、接着操作(虫歯を埋める樹脂であるコンポジットレジンの接着、セラミックスの接着)
当院では行わないことで成功率が確実に下がることが報告されているものを行わないのは正しいとは考えません。しかし、保険診療にはラバーダムの料金はありませんので、医院側のサービスになってしまっているのが現状です。つまり我が国では、保険診療内であれ保険外診療であれそれは担当医の判断に委ねられています。
特に保険診療内では国としては料金設定をしていないので、行わないことを責めることは難しいのかもしれません。
当院においては、根管治療を行うときには原則的にラバーダム防湿を行います。
状況によってごくまれに、行わない場合もあります。(患者様がなにかしらの理由で、拒否される場合は相談させていただきます)
お気軽に担当医にご相談下さい。
虫歯を削ることや根管治療をすることの主な治療目的は虫歯菌、歯周病菌の排除をし、そこに再度感染をしないようにして、元々あった形態を回復することにあります。しかしラバーダム防湿をしないと、治療をしている側から、唾液がついてしまい再感染をしてしまいます。
唾液中には、無論虫歯菌や歯周病菌が大量に含まれているためです。
ラバーダムをしなくても、白い棉(コットンロール)で良い。(簡易防湿という)でよいという先生もいらっしゃるのですが、治療操作中に無意識に唇や歯を触っている時点でグローブ自体が汚染されてしまっているので、ラバーダム防湿のような効果は期待できません。
虫歯であれば、正確に虫歯を除去し、その後唾液や呼気によって汚染されない、もしくは湿気のない状態でなければ、正しい接着操作や無菌的操作は不可能です。
接着というのが患者様からはピンと来ないかもしれませんが、セロテープやアロンアルファをイメージしてもらえれば良いのですが、汚れているところや、濡れているところに正確に物をくっつけることができるでしょうか?難しいですよね。口腔内は湿気が奥歯では90%近いとも言われます。それを遮断せずに行う操作に信頼性があるでしょうか?
そこで見た目上はくっついていたとしても私たちの相手は細菌ですので、細菌が侵入できないほどにぴったりと接着されていないければいけません。
もちろん接着が不正確であれば、被せ物や詰め物の脱離、虫歯の再発、根管治療の失敗につながるのは明白です。
ラバーダム防湿を行わない場合、
治療中常に唾液に汚染される
可能性があります。
ラバーダム防湿により
常に術野をきれいな状態に保てます。
上記のような再度唾液がつかない状態で、治療部位自体の歯の表面を消毒します。
ラバーダム防湿をせずに強い薬剤を使ってしまうともし歯から漏れ出した時に、舌や口腔粘膜をやけどさせてしまったり、強い痛みを発生させてしまう場合があります。
歯科医師の側からすると口腔内は暗くて狭くて、舌や頬など治療を邪魔する要素でいっぱいです。一度ラバーダム防湿をすることがルーティンになった歯科医師は必ずラバーダム防湿なしでは治療ができないと確信するはずです。また患者様の側からすれば、治療のために舌を強く押される、ましてや強い薬剤が口腔内に入ってくることは不快以外のなにものでもないはずです。
あとはマイクロスコープを使用することを前提とした場合、集中力は格段に違ってくるのを歯科医師は感じるはずです。
マイクロスコープは医療分野では主に眼科や脳外科などで使用されますが、その場面で何か邪魔をするものはすべて排除して行われるはずです。歯科治療も精密に行われる時には、集中力が結果を左右します。そのため、ラバーダム防湿をしないことは、精密な治療を行おうとする歯科医師にとっては絶対に考えられないのです。
1の部分で記載しましたが接着操作をする場合、水分、湿気のある状態では良い結果は望めません。これば、私の所属する日本歯科接着学会などでも多くの論文が投稿されていますし、これもまた海外では常識とされています。根管治療だけでなく、ダイレクトボンディング(虫歯のあとの詰め物)やセラミックス治療においても可能なかぎり行うべきものです。
根管治療は特にそうですが、歯科治療では細かい器具が多い為、また被せ物も小さい為、誤って口の中に落としてしまった場合に誤飲(患者様が間違えて飲み込んでしまう)ことを防ぐことができます。器具が食道を伝って飲み込んでしまった場合は内視鏡にて取り出さなければ行けない場合もありますし、器官に入ってしまう場合は手術にて取り出さねばならないこともあります。患者、歯科医師双方のためにもラバーダム防湿は大切です。
4の部分に記載しましたが、舌や頬は歯科治療の際にとても邪魔になってしまいます。そのため通常歯科医師が気を付けていても、患者様によっては、舌をどうしても動かしてしまう、頬の膨らみがとても大きいなどの場合傷つけてしまう場合があります。ラバーダムは唾液や湿気だけでなく当然、舌や頬も排除されるため、傷つける心配がありません。
実はあまり知られていませんが、顎の形によって、呼吸のしやすさは変わってきます。そのため、歯科治療時の水が苦痛だという患者様は意外と多くいらっしゃいます。
その為、水が溜まるごとにうがいをしないといけない場合があり、患者様は辛い、歯科医師、衛生士側としては治療を度々中断しなくてはならないため、とても治療が困難です。
ラバーダム防湿を行なっているときは、水もラバーダムの上に溜まるため、水が直接流れてくることはありません。
これだけの利点があるため、行うべき処置ですが、欠点がいくつかあります。
無菌ラットと通常のラットを用意し、歯に穴を開け放置し、経過観察したところ、無菌マウスは病気を作ることなく経過し、通常のラットには、病気ができたという有名な古い論文です。そのため、根の病気も口腔内の細菌感染によって起こるためできる限り、口腔内から遮断した状態での治療が必要となります。
しかもこの論文は1965年のもので最近のものではありません。ラバーダム防湿をすることは、シートベルトをすることに近いのかもしれません。義務化とそれに伴う措置が我が国では、必要かもしれません。
事故、病気が起こってしまってからでは遅いですよね。
我が国のデータはおそらく、ラバーダムをせず、マイクロスコープや適切な器具を使用せず、時間が限られた中で行われてると予想されます。諸外国のデータと比べると驚愕すべきではないでしょうか?
我が国の失敗率は諸外国の成功率と同等です。これをどのように評価すべきでしょうか?
Endodontics
根管治療の成功率は近年諸外国を中心に上がってきています。その理由は、モダンエンドドンティクスの3種の神器と言われる。CT、NiTi ファイル、マイクロスコープの登場によるとされます。
従来の二次元のレントゲン、ステンレスファイル、裸眼のものは従来のものとされ、それに対して、上記の3種の機器を使用したものをモダンエンドドンティクスなどと呼ぶことが多いようです。
我が国ではよく聞く話ですが、経験と勘で治療はやるものだと・・・現代医学でそれは死語になりつつあります。
もちろん経験や勘の部分は少なからずあるのは事実です。しかし、経験と勘では治療結果の安定を得ることは難しいです。
医学はたまたまうまくいったとか、この人がやればうまくいくの要素をできるだけ排除すべきだからです。
そのため、術前にCTで解剖をはっきり確認し、NiTiファイルという根管の解剖を破壊しない器具を使い、勘ではなくマイクロスコープで直接見て行うことが重要です。
ラバーダム防湿はもちろんですが、プロトコルといわれる、ルールを守れば、多くの医師が経験に大きく左右されることなく、同じような結果を出せる可能性が高まりますし、そのようなことが求められるのが現代医学です。
CTがなぜ必要なのか考えて行きましょう。我々歯科医師にとってCTの3次元の画像は歯にどのような問題が起こっているか、どのような解剖なのかを知らせてくれます。
つまりわかりにくい地図とわかりやすい地図のような違いでしょうか。知らない土地もしくは外国に行くときにガイドもなし、地図もよくわからないものでは不安ではないですか???
こちらは右下の奥歯のエックス線写真です。後ろから2本の歯に不適切な根管治療が行われています。根の先には膿が溜まっていて、患者様は痛みと違和感を訴えておりました。
このエックス線写真はデジタルレントゲンなので、現像のものに比べると、拡大したり、色味を変えられるためこの時点で有利です。(場合によっては、現像のものの方が優れているように感じられる場面もある)
しかし問題はあくまで二次元であることです。病気があるな、こんな感じになっているんだろうなは、経験のある歯科医師であれば、予想が立ちます。
しかし、これが経験と勘です。経験と勘も必要ですが、はっきりわからないと手探りになってしまい成功率が下がり、治療時間も長くなってしまいます。
実際に診断して見てみましょう。一番奥の歯で行います。
※いろいろ他にもありますが、ここでは代表的なものを上げてみました。
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モダンエンドドンティクスの3種の神器と言われる。CT、NiTi ファイル、マイクロスコープのうちのNiTiファイルについて説明いたします。
従来から使用されているファイルという神経の道を綺麗にする道具はステンレス製のものです。
海外で主に使用されている道具はNiTi(ニッケルチタン)製のものですが、日本で主流のものはステンレス製のものです。
NiTi製のものでなければ適切な根管治療は行えないといわれているのが現状です。
ステンレス製のものでは細菌を除去しきれないばかりでなくCTの項でも記載していますが、本来の神経の道と違うところへ進んでしまったり、途中で止まってしまう、形を壊してしまい治療を難しくしてしまうと報告されています。
NiTi製のものは材料費が高額なため通常、日本の保険治療で使用することは難しいとされます。
近年、日本の保険治療でも使用できるようなことがメーカの努力により進んできていますが、最新、最良などのものを歯科医師が知識や論文、経験をもとにセレクトすることはいまだ難しいように思われます。当院では世界を基準に患者様利益を最優先に考え道具をセレクトしてまいります。
柔軟性に乏しい
ステンレス製器具
優れた柔軟性の
ニッケルチタン製器具
ステンレスファイルとNiTi(ニッケルチタンファイル)の最大の違いはその柔軟性と疲労強度です。
神経の道はそのほとんどが湾曲しています。その道をまっすぐのまま曲がらないファイルで進めばトラブルが起こることは明白です。
例を挙げるとすると、カーブしている道に対してバイクで曲がろうとする場合、減速すると思いますが、減速をせずスピードがそのままであれば曲がれずまっすぐ行ってしまいます。またハンドルで曲がる機能がバイクにないとしたら、もしくはハンドルの効きが悪いとしたら、減速をしても曲がることは難しいでしょう。
また、電車に蛇腹状の列車の接合部がなかったら、線路のカーブを曲がれるでしょうか?そのような感じをイメージしていただいて後の図を見ていただくと理解しやすいと思われます。
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根管治療は根管という神経の入っていた管を綺麗にし、残った神経や汚れを可能なかぎり、取り除かなければいけません。患者様からすると神経を抜くというのは、
電気のコードを切るイメージでするっと抜けるようにイメージされている方が多いようですが、実はそうではありません。
細い根管と言われる神経の入っていた管に豆腐や、プリンが入っているのをイメージしてみてください。
プリンを食べた時のことを思い出して欲しいのですが、綺麗に残さず食べられる人はいるでしょうか?おそらくカップに崩れたプリンのカスが残ってしまうと思います。
あのイメージ近い状態なのです。そのためニッケルチタンファイルなどの細い管にぴったり沿って進んで行く道具で刮ぎとるのですが、それでも約4割程度は残ってしまうと言われています。もちろんその残りは起炎物質となりますので可能なかぎり除去しないと治癒いたしません。
その残りを強い消毒液で溶かして行く必要があります。そのためラバーダムは当たり前ですが、それを行うための吸引機や適切な薬剤、専用の超音波器具の使用が必要です。
現在世界の基準で考えると、特殊薬剤のほか超音波によって効果を促進しながら行う必要があると言われております。
しかも洗浄という洗う操作だけで10~20分、先生によってはもっと時間をかけると言われます。またその器具を使用するためには、多くの機材と時間が必要ですので、
わが国の一般的な治療での使用は難しいと考えられます。
根管治療の治癒の確率を上げて行くためにはこれらの器具を使用する必要があるでしょう。当院においては世界の基準で選定させていただいた器具や機器を使用いたします。
※医科の世界でも問題になっていることですが、ドラッグラグというものがあります。 日本では最新の薬剤を使えないということです。本来、患者様にとって必要があるもので、よりよい結果が得られるのであればそれを使用するのはひとつの考え方であると思います。
しかし、わが国では認可が下りるのがたいへん遅く、特に医科領域において薬によって症状を抑制するなどしないと生活に支障がでる場合においても自費にて個人輸入するのが現状となり大きなコストがかかるというものです。
歯科においても最新の報告でよいとされている薬剤を使用することは難しく、海外での使用を禁じられている薬剤を使用する先生もおられるのが、現状です。
Endodontics
MTA(mineral trioxide aggregate)とは、1993年にMahmound Torabinejad教授によって米国で開発された歯科用の水硬性セメントで、諸外国では、1998年以降、虫歯や歯科治療によって歯の底に穴があいた場合や歯にひびが入った時などに用いて実績を挙げています。ただの虫歯の穴ではなく、歯から骨に抜ける穴を埋めるのに使うことが可能なセメントなのです。この様に海外では、様々な臨床応用が認められていますが、日本では2007年に覆髄材としてのみ、薬事認可されました。
このMTAセメントを使用することで、穴が空いてしまった歯、歯が薄くなってしまった歯、治りにくい歯を治すことが可能になってきています。
今までは海外から個人輸入しなくてはならなかったのですが、昨今わが国でも材料自体は手に入るようになりました。しかし、使用法を規制してしまっていることと、診療報酬がとても低く設定されているため、このセメントの効果を十分に引き出すため、適切に行うには、他の材料や知識、テクニック、時間などを考えると保険診療の中で行うことは難しいように考えられています。
一般的な歯科医師はこのセメントを十分に使いこなす知識や技術を持っていないことが多いため、穴が空いている歯や歯が薄い歯、根の膿が多い歯を抜かなければならないと判断することが多いようです。
また、保険診療内の治療を患者様が希望する場合には、提供することが難しいと思われます。
また近年、神経を取らないで治療可能なことがわかってきています。そのため、みなさまが一度は聞いたことがあるであろう、虫歯の治療の後もしくは、治療前のエックス線で、神経に近いので、もしくは神経まで虫歯があったら、神経を取ります。ですが、現在は取る必要がない場合が多いと考え方が変わってきています。
つまり、今までは抜歯になってしまっていた歯、神経を取らなきゃいけなかった歯の治療方法が変わるほどのセメントだということです。
歯に穴が空いている、歯が薄くなってしまっている、膿が大きいから治らない、だから抜くしかない。
→このような事柄は必ずしも歯を抜く理由にはならない
神経をできればとりたくないという患者様には世界の基準で考えれば、最適な治療があることになります。お気軽にご相談下さい。
右下の一番奥の歯が疲れた時に腫れる、違和感があるというのを治したいと来院された患者様です。
治療直後の写真です。ラバーダム防湿下で歯の周りには、ラバーダム防湿のための隔壁という材料により堤防をしています。
この後順調に維持しております。
もしMTAセメントがなかったら、もしくはそれを扱う技術を持たない歯科医師であれば、抜歯(歯を抜く)を勧める可能性が高いです。
その後はこの場面ではインプラントか入れ歯を入れることになるでしょう。
患者様には歯が残るか残らないかでその後の運命は大きく変わってしまいます。
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この組織はとても生命力の高い組織です。現在、歯科だけでなく医科の分野でも注目されています。歯根膜の周囲組織には幹細胞といわれる細胞を含む部分があります。医学の世界ではこの幹細胞が、他の組織より歯の周囲に多く存在することに注目し、細胞を取り出し、臓器の再生に利用しようという研究が進んでいるようです。そのくらい生命力の強い神秘的な細胞なのです。
そのため、残っている親知らずを抜かなくてはならなくなった歯を抜いたところに移植する(自家歯牙移植)もしくは、根の治療の結果が思わしくなく治癒しないが、健康な歯根膜組織の残っている歯を一度抜いて、再度抜いた場所に戻す治療(意図的再植)として、ご自身の歯を残す手段として行われています。
当院では、抜歯やインプラントの前に歯牙移植、歯牙再植を検討いたします。
もちろんインプラントの方が患者様にとって有益と考える場合は、インプラントをお勧めしますが、天然歯を生かすことは、インプラントなどを選択するよりも有益である場合も多くあります。
ブリッジといって左右の歯を削る、またインプラントをするのを避けることができます。
※インプラントをしたくない、有効な親知らずがある患者様には有効な手段です。
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