Endodontics & Periodontics
感染(infection)とは、生物の体内もしくは表面に、より体積の小さい微生物等の病原体が寄生し、増殖するようになる事。また、侵入等のその過程。それによっておこる疾患を感染症と言います。
感染症は内因性の感染症と外因性の感染症の2つに大きく分けられます。感染症を発症すると交差感染へと発展する危険性があります。感染症を100%予防することは不可能です。
しかしそのためにスタンダードプリコーションやインフェクションコントロールと言われるように感染のリスクを低減させ、医療従事者、患者様ともに安心した医療を提供、受けられるようにする必要があります。
我が国では感染に関して疎い傾向にあるそうです。なぜかというと、島国ということで、外部のものが入りにくいという特徴があり、歴史的にあまり重要視されてこなかったそうです。
逆に、ヨーロッパのような陸続きでアフリカ大陸、や中東、ユーラシア大陸などの陸続きの環境では歴史的に、感染症というものは一番恐れられてきたものの一つと認識されてきたようです。
そのため、特にわれわれの知る限り、ドイツなどでは特に感染症対策のための薬品や機材が発展しています。
う蝕(虫歯)、根管治療、歯周病治療においても全て細菌が原因であるため、当然ですが、清潔で、徹底的に管理された器具を使用する必要があります。
ヨーロッパ規格であるEN13060に準拠した
「クラスB」プレポストバキューム式の滅菌器
使用済みの器材の洗浄・消毒
高圧蒸気滅菌器
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過去には、医療の世界でよく言われた言葉があります「経験と勘がとても大事である」と。
しかし、現代医療では、これは死後になりつつあります。
現在では“見えないことはできない見えることはできる”、“見えないで行うことは非常に危険である”、“経験や勘は医療技術によってそのほとんどが補填される”
というようなニュアンスで多くの世界中の外科医が表現しているのをよく見るようになりました。
経験を視覚が埋めるという論文も出てきているくらいです。拡大視野による視覚が医療技術を大きく変えたことは多くの外科医が感じているところです。約50年前の1953年に耳鼻科で初めて手術用顕微鏡 (OPMI 1)が使用され、1960年代には眼科、脳神経外科、1980年代には形成外科、整形外科、婦人科が、その様な状況の中で最も精密さが要求される分野のひとつである歯科では1990年代にようやく実用に供されるようになりました。
アメリカ合衆国では1998年に歯内治療学大学院における顕微鏡使用教育の義務化がなされました。
歯内療法における活用から始まった顕微鏡歯科治療ですが、微細な小外科を連続して行う歯科治療にとっては必須とも言えます。歯周療法、保存療法、補綴治療、外科治療、インプラント治療、などへとその対象を拡大しています。
一度手術用顕微鏡を使いこなして歯科治療を行なった歯科医師は、その後決してマイクロスコープなしでは診療を行うことはできないでしょう。
また裸眼の治療を受けること行うことの恐ろしさを知ることになります。
裸眼の視野
裸眼で見える歯の大きさはこの程度でいくら近づいても、中の様子は見えず、中がどうなっているかは想像で行うしかありません。
拡大できないことと、ライトが見ているところに直接あたらないことには、見ることはできません。
マイクロスコープの視野
段階的に拡大してお見せします。
前半で見えていた汚れをビデオ後半では薬剤と特殊な器具を使用してかき出しています。このような、汚れをかき出さないと、治らない場合があるのです。この汚れは、エックス線、CT、マイクロスコープによる視野によって総合的に判断されます。
まず裸眼での治療ではこの汚れがあること自体知りえないですし、わかったとしても取り除けたかどうかは想像の域を出ません。
根管治療を精密に行おうとするのであれば、マイクロスコープが必須であることは言うまでもありません。
また、歯周病の原因の一つである歯石なども裸眼やルーペだけでは見ることができない世界があります。
詳しくご覧になりたい方は下をクリックしてください。随時アップロードしてまいります。ご参考になさってください。
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補綴というのは、歯科治療がなされて改善したと思われる歯に対して、行われる被せ物や詰め物のことです。
そもそも歯科治療の目的はなにであるのかを今一度考えてみると、発語、咀嚼嚥下が無意識にできる状態で、できれば美しく再発の少ない、もともとあった組織(臓器)のように機能回復、審美性回復だということです。
つまり、この補綴は行ってきた治療の締めくくりで、その質ややり方によっては、今まで行ってきた治療を台無しにしてしまう恐れもある治療です。
そのため、当院では、可能な場合は根管治療や歯周病治療を行なった後の補綴まで責任を持ってさせていただきたいと考えます。他院からの紹介の患者様の場合は紹介先の先生の指示に従うのが基本ですので、補綴は紹介先で行うとのことであればその限りではございません。
精密補綴という表現をさせていただいているのは、
① マイクロスコープ、ルーペなどを常時使用下の拡大診療で行われている
② 仮歯などにて、十分に機能や見た目を検討した上で行われているか、またもちろん補綴前に十分に周囲組織の治癒がなされているか
③ 型を取るために十分な時間や材料を使用しているか
④ 歯科技工士は国内トップレベルの技工士に依頼しているか
⑤ 装着時の噛み合わせを十分に評価できる材料、システムを持っているか、調整が多くないか
⑥ 装着時、ケースによって適切なセメントや接着環境を整えて行なっているか
などが満たされていないものは精密補綴と言えません。白い歯なら良いのでは、セラミックスなら安心ではございません。どのように行われているか、誰が治療するのか、誰が作成するのか、が大事です。歯科医師、歯科技工士の技術は同じではありません、実際はそこに大きな差があります。
我々の世界ではテクニックセンシティブと言います。
歯の形を評価するために簡単な型取りをし、石膏模型を作ります。
また、その模型を利用して、後日精密な型取りをするために患者さんひとりひとりのお口に合わせた、専用の型取りのトレーを作成します。
既成のトレー
個人専用のオーダーメイドトレー
歯と歯茎の間に専用の糸を挿入し、削られた部分と削られていない部分の境界をはっきりだすようにし、それを適切な材料で表現します。 上記例は3M社製インプリント3を使用した例です。
昔はこの中の色見本から一番近い色を歯科技工士にオーダーするだけであったのですが、現在は色見本を治療部位とともに写真をとり歯科技工士に送ります。
その後写真のように以前は写真にして指示を書いておりましたが、現在はメールなどで画像ファイルを送りそのまま、それを編集ソフトに入れ解析します。
そのため以前よりも美しく色のマッチした補綴物の作成が可能となります。
根管治療を行なった後に、どのような補綴(被せ物、詰め物)をするかによってどのような結果が待っているかを研究した論文です。
根管治療自体が失敗している場合は、もちろん問題です。
一番成績が悪いのは、根管治療、補綴共に悪い、一番良いのは根管治療、補綴共に良いものです。
ここで注目するべきは、根管治療の質に関わらず、補綴が良いものの方が結果が良く、補綴が悪いものは成績が悪いというところです。
根管治療、歯周治療が正しく行われても補綴治療が精密でなければ、結果を長期に維持することはできません。
Ray & Trope(1995) | ||
---|---|---|
根管治療 | 修復治療 | 成功 |
Good | Good | 91.4% |
Poor | Good | 67.6% |
Good | Poor | 44.1% |
Poor | Poor | 18.1% |
Tronstad L., et al.(2000) | ||
---|---|---|
根管治療 | 修復治療 | 成功 |
Good | Good | 81% |
Poor | Good | 56% |
Good | Poor | 71% |
Poor | Poor | 57% |
Ray & Trope(左)はエックス線写真像から根管充填の質がよいもの、修復物のマージン部に問題がないものをGoodとして、どちらが根管治療歯の成功率に影響を与えるかを調べた。この調査からは、根管治療の質より修復物の質のよいほうが成功率は高いということになる。一方、Tronstadら(右)の同様の調査では、修復物の質より根管治療の質がよいほうが成功率は高かった。この調査から、根管治療を成功に導くには根管治療の質がよいことは言うまでもなく、修復治療の質も重要であることが示唆される。
あるイタリアの先生のHPにこのような記述があります。
「セラミックスはいくらですか?インプラントはいくらですか?というのは違います。あなたは私の技術と時間を買うことになります、つまりあなたの望む内容により費用は変わります。」
これは正しいと思います。我々もたまにインプラントはいくらですか?セラミックス、ホワイトニングはいくらですか?
というにお電話でお問い合わせいただくことがあります。その時には、診させていただかないとわかりません。とお答えするのですが、なぜ値段がわからないんだとお叱りを受けることがあります。
しかし、歯科治療はゴールが患者様によって違います。どのくらいの機能回復、見た目の改善を望むかは患者様によって大きく異なります。
つまり、英語や楽器を習うことに近く、どのくらいのレベルを目指す、もしくは現段階でどのくらいの状態にいるかわからない状態で、しゃべれるようになるまでにどのくらいの費用がかかる?弾けるようになるためにどのくらい費用がかかる?というのと同様で、その方のしゃべれる、その方の弾けるレベルがどのくらいかがまず、あいまいですよね?あとは現状のレベル、どのくらい練習に時間がとれるか?
そのため、費用などに関しても個々の相談が必要となります。
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保険治療と保険外治療の違いは材料や治療法だと考えられていることが多いですが、実は最大の違いは治療の丁寧さにあります。
最も重要な要素は時間です。
保険治療の場合にはあらかじめ治療費が決められているので、どうしても限られた時間・材料の中での治療となってしまいます。保険外治療の場合には、患者様にそれぞれの治療に合わせて治療費を負担していただければ、十分な時間と材料を使って、その歯科医院、歯科医師の最大限の技術を発揮することが出来ます。※1下記参照
また我が国ではあまり知られていないように思いますが、患者様の身体の一部となる、被せ物、義歯を作る歯科技工士という職業をご存知でしょうか?
歯科技工士も歯科医師同様で、十分な技術を発揮するためには、時間や費用が必要になります。
例えば、セラミックスの歯は高いというイメージがあると思いますが、セラミックス自体は、特に高い材料ではないのではないでしょうか?マグカップも陶材だと思うのですが、安価なものも多いと思います。
材料ではなく、大事なのはお口の中にぴったりフィットする、歯のような色を再現する技術です。
このような結果を出すためには手間(時間)、道具や材料(費用)が必要なのです。
また、歯科助手、歯科衛生士においても同様です。患者様を迎えるための準備の時間であったり説明の時間も十分にとらなければ、患者様が理解をして治療を受けるということができません。
ただし、どんな場面でも保険外治療が良いのかと言えばそういうわけではなく、中には保険治療で十分な治療もあります。 また、保険外治療は治療の結果を保証するものではありませんので、担当医にお気軽にご相談下さい。
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※1みなさんもご自身のお仕事などでご想像してみてください。
時間、コスト、人員、材料などを制限された中でベストな仕事ができるでしょうか?
食品であれば、低コストで提供するのであれば、コストカット、人員カットなどの上に成り立ち、多くの商品を売る必要があります。
シェフが自身の考える十分なものを提供しようとすると、もちろん、自由にコストや時間をかけるだけかけられるわけではないですが、自身の提供したいレベル、お客様のニーズに合わせて、費用対効果のバランスの範囲で、利益を求めるのか、プライドや、夢を追うのかなどをオーナー、もしくはシェフ自らが決めることができます。
つまり、ファストフードなのかファミリーレストランなのか、フレンチなのかによって、全ての要素を自由に決めることができます。
もちろんこの場合、良し悪しではなく、そのお客様のその時求める状況によって違うと考えます。
一般的に、日常の夕食がフレンチという方は少ないでしょうし、記念日のお祝いがファストフードという方も少ないと思います。
そのために、ビジネスの世界ではプライシングという言葉を使うようですが、慎重に価格というのは決められるべきで、それは専門家が行うくらいに難しいことであるようです。価格を固定した場合には、事業の多様性は失われてしまいます。
歯科に置き換えて考えてみると、国民皆保険診療はあくまで国の事業で行われており、我々は保険診療を行う場合、その規則に従う必要があります。診療報酬、材料、使用可能な材料などが厳しく規定されております。そのため、医院を運営していく上では、治療にかけられる時間、コスト、人員は決まってきます。それは悪いことだけではなく、管理する国側としては、一定水準の医療を提供するため、材料、治療方法は安全で全ての人に与えられるべきであろうと考えられたものであるでしょうし、診療報酬も規定することで、国の医療費の管理を行なっているのだろうと思います。このことが、全ての国民が一定水準の医療を受けられることを目的とした国民皆保険の最大のメリットだと考えます。
また本来どこの歯科医院にいっても同じような結果を得られるようにしようと調整されたものです。
しかし一方で最大の欠点は、患者様のニーズ通りの治療やホスピタリティー、サービスを受けられない場合もあるということです。
こちらに関しても、古くから、セラミックスの歯など全ての国民に与えるべき一定水準という範囲を超えると考えられるものは、自由診療、保険外診療として認められているわけです。場面によって使い分けることが、患者様側の選択の自由なのかもしれません。