2019.01.01
ハワイ カダバーコース
去年の一番の目玉セミナーはカダバーコースといわれる、実際のご検体を使用して医療技術のテクニックのトレーニングをする実習形式のセミナーになります。
なぜ、ハワイでというのがポイントなのです。またご検体と書いても一般の方が見た場合には、わかりずらいかと思います。ご検体とは実際の人の御遺体(以後ご検体)のことです。我々歯科医師が治療のトレーニングを行う場合には一般的に模型や豚の顎を使用することがほとんどです。しかし、模型や豚では実際の人間ではないため、特に外科治療においては実物とは違いがあり、実際は現場での経験を積まざるを得ません。
そのためご検体を使用させていただくことが、実際と同じ状況で行うことができる唯一の方法なのです。しかし我が国では、倫理的な問題で一般的にはご検体を触れるのは解剖実習を行う歯科学生の時の一回に限られます。
しかし、実際は卒後研修と行って、卒業後にどれだけ研鑽を積んでいるかが重要なのです。ここらへんは特に患者様に、学校で習うのでは・・・と言われるのですが、それでは到底足りません。(私がよく説明させていただいているのは、国家試験を合格したのは車の一般車両の免許をとったのと同じで、卒業直後にうまく運転ができるわけではないこと、さらには重機や大型車両、自動二輪、大型二輪は運転できません。ましてやF1レースに参戦したり、カースタントをすることなんてとんでもないのです。
我が国で行おうとした場合には、大学病院で行われる学生実習に参加するか、解剖学教室に在籍する必要があります。またそのどちらも一般的に簡単ではありません。そのため、法律的に許可されている海外にて行わなければならないのです。またもう一つ海外にて行う理由は、日本で触れることが許されているご検体のコンディションは専門家によって解剖に適した状態に調整をされた状態にあり実際のお身体とは触った感触などは全くの別物です。海外でのカダバー実習で使用させていただくものは、お亡くなりになって1週間以内のものを使用させていただけることが大きなメリットであり、わざわざ海外研修する理由です。
またその質は言うまでもなく、実際の患者様の治療をさせていただいてるのと遜色ありません、またいろいろある大学の中でも、ハワイ大学が最高レベルであるとされています。そのためハワイ大学での研修をさせていただいているのです。
実は、7年くらい前にも一度行きましたが、最新の外科手技が生み出される中、そのようなものについても患者様に行う前に研鑽が必要と考えるため参加致しました。
お身体を提供してくださったご検体様と私の不在中診療にあたってくれたスタッフ、患者様のご理解のもとに行えたセミナーです。感謝とともに、患者様のためになる治療にさらに務める所存でおります。