Case detail

症例詳細

2024.01.12

歯の中に穴を開けられてしまった、もしくは開いてしまった場合にも対応可能な場合があります!パーフォレーションリペア

術後 咬合面観

治療内容(担当医:木島 武尊

診療科目
治療詳細
患者様 40代 男性

治療期間 約半年

治療計画 患者様は歯茎の腫れと違和感を訴えていらっしゃいました。根管治療(細菌に感染した神経を綺麗に取り除き、その代わりとなる材料にて適切に封鎖する治療)状況としては不適切な状況でした。

そもそも十分に感染物が取り除かれていないこと、代わりとなる材料が十分に詰められていないことなどです。さらに加えて、歯の根の部分に穴を開けてしまっている、もしくは何らかのせいで穴が空いた状況でした。

そのためまずは、根管内にアプローチするため、詰められていた土台の材料や、神経の代わりとなるガッタパーチャと呼ばれるゴムの材料を撤去し、中の細菌を限りなく少なくするため、機械的、科学的に内部を洗浄します。

その後、穴の空いている場所、サイズ、もしくは触られていないであろう部分の開拓と消毒、洗浄を行いました。

 

このようなケースはさらにガッタパーチャというゴムの材料を雑に詰められているため、根管内から飛び出してしまっていたので、そちらを取り除くことも必要です。(ガッタパーチャは歯の外に出てしまうと細菌のすみかになってしまうため、炎症を引き起こしてしまいます、そのためできる限りの除去が必要です。)

その後、MTAセメント(Proroot MTA)にて空いてしまっている穴もろとも埋めていきます。このセメントは外に飛び出ていても身体と馴染みが良いことが知られていて、開発者であるトラネビジャド先生、ハリウッドで御開業のジョージボーゲン先生らによって世の中に広まっていきました。

海外では10数年以上前から当たり前に使用されている材料ですが、我が国に入ってきたのは、つい数年前です。また、日本の国内でもMTAセメントは一般的になりつつあるのですが、一般的にMTAセメントの取り扱いは難しいと考えられていて、一般の歯科医師向けに簡単に使えるMTAセメントというものが出回るようになりました。

特に我が国では、保険制度の都合上専門性を持たない歯科医師の方がマジョリティーのため、扱いが簡単なMTAセメントを好む傾向にあるようですが、このようなシビアなケースに関しては、専門的な知識と技術を持った歯科医師がオリジナルであるProroot MTAを使用して修理(リペア)する必要があるとされています。

※ 昨今、前医にMTAセメントを使用してもらったとお話しされている患者様を、拝見すると全く異質なものを使用されているケースが散見されるようになってまいりました。どのようなMTAセメントを使用するのか、十分に歯科医師と相談が必要です。

さらにいうと、国内でのMTAセメントの使用に関しては、保険診療時の歯髄の保護のみに認められています。そのため、このようなパーフォレーションと呼ばれる、根管内の穴への対応は海外では当たり前ですが、我が国では、適応外使用と呼ばれ、患者様と歯科医師の同意のもとでのみ許されるとされています。そのため、自由診療でのみ行うことが可能です。

費用(概算) その方にもよりますが、概ね大臼歯の感染根管治療の費用は16万〜20万くらいになります。さらに異物の除去や大きなパーフォレーションリペアが必要な場合は別途治療費が必要です。

治療前にほとんどの場合でお見積書をお作りさせていただいています。

費用は治療当時の料金となります

Treatment process

  • 開始前
    治療途中
    終了時
  • 術前 咬合面観
    術後 咬合面観
  • 術前 側方面観
    術後 側方面観
  • 術前 パノラマエックス線写真
  • 術前 X線
    支台築造、ダイレクトボンディング終了時
    2年後X線写真
  • 術前 解説
    術後 解説

このように、根管治療は1本の歯の治療なのですが、配慮しなければいけないことも多く難易度の高い治療です。しかし、初めて、神経をとる時に適切な治療を行う、もしくは、そもそも神経を取らなくて良いような、適切な虫歯治療が行われていれば、このようなことにはなりません。

一度、治療を複雑にしてしまうと専門的な知識、技術のある歯科医師にとっても治すことが難しいいわゆる難症例に変わってしまいます。以前として、我が国では、専門分野の棲み分けがされていなかったり、保険制度の弱い部分によって治療レベルや’対応に差が出てしまうのが現状です。

患者様が自身でどのような状況で、どのような治療、歯科医師を選ぶかが重要です。とにかく大したことがない時に、丁寧な配慮をされた、精密な治療を選ぶべきです。それが、歯を失わない第一歩だからです。

※ちなみに一般の歯科医師がこちらのような歯を担当した場合は、歯に穴が空いていることを理由に抜歯という診断をすることは残念ながら一般的です。通院中の歯科医院で抜歯の宣告を受けた、急に抜歯と方針変更になった、インプラントを勧められたが、自分の歯をできれば残したいという方は一度お気軽にご相談下さい。

その他の注意事項
(リスク・副作用など)
治療の成功が保証されている治療ではないことや、実際に触ってみないと状況がわからないため、事前にある程度の予測は経ちますが、途中で治療中断になる場合があります。

(開けてみたら、絶対に治せないほどの穴が空いていた、歯が折れていた、ヒビが入っていたなどです、その場合はその時点で、マイクロスコープなどで状況の写真や動画をお見せし、今後の治療の相談をします。)

そのため、考え方によっては時間と費用が無駄になってしまうこともあります。