Case detail

症例詳細

2024.04.16

上顎の奥歯(上の奥歯)の根管治療はうまく行われていないことが多いです。。。

治療内容(担当医:木島)

診療科目
治療詳細
患者様 40代 女性
治療期間 7回ほど
治療計画 穴が開けられてしまっているところの形と範囲の確認をし、その後正しい根管の探索、パーフォレーションリペア(穴の補修)、本来の根管の根管充填

Treatment process

  • 開始前
    治療途中
    終了時

他院にて、歯に穴が空いており、バケツに穴が空いているのと一緒で抜くしかないと言われたとのことです。上顎では拡大鏡やマイクロスコープ、もしくは専用のミラーもしくは、ミラー越しに治療する、ミラーテクニックという手技を十分に習得していない歯科医師では難しく、虫歯をとっている最中など歯を削るときに、誤って穴を空けてしまうことが度々起こります。

それは、ある意味では必然なのかもしれません。
私は研修医を終えた歯科医師3年目程度から、ルーペ(拡大鏡)を使用して診療をしていましたが、特にそれ以前は全て裸眼にて直接見る物だ思い覗き込んでいました。その場合、そもそも小さくしか見えない、治療代についているライトでは影でできてしまい、今考えるとよく見えていない状態でした。(ちなみに当時の視力は両方1.5でしたので、目が悪いわけではありません)
3年目当時も拡大はされているのですが、当時3倍の拡大率でライト付きではなかったことや、専用のミラーでないため、見えない部分が多く存在しました。私の場合は4年目以降からライト付きのさらに倍率の高い(当時最高倍率の8倍や4.5倍)拡大鏡を使用していました。
峯デンタルクリニックに戻ってきてから、15年ほどはマイクロスコープ(8倍から24倍程度)使用することが当たり前になりました。

そのため、感覚で削り、ミラーで確認するという作業を行うのが普通でした、そのため恐る恐る歯を削っては確認するというような状況であったと記憶しています。

これは、決して昔の話ということではなく、歯科医師の中で、現在でもこのように治療をしている歯科医師は思われているより多いのが現状です。その場合、特に急いで診療中している保険診療などでは、誤って穴を空けてしまうということは割と起こように感じます。(これは当院に、他院からこのようなケースの患者様が多くいらっしゃっていることから)

その場合、治りが悪い、痛みが引かないならということで抜歯になってしまうことがあるのです、、、、また、歯科医師本人が何が起きているかわかっていない場合もあるようです。

このようなことで抜歯になってしまっては、患者様としては、不利益が多いかと思います。まずは、十分な器具や環境の整った歯科医院に行くこと、もしくは何かおかしいなと思ったらセカンドオピニオンをとることが重要と考えます。

今回はとても大きな穴があったことと、数十年間、本来の根管(神経の入っている管で、また本来綺麗に掃除をするべき場所)が見つけられていないことで、化石を発掘するような状況であることから、治療の難易度が高く、治療自体がうまくいかないかもしれないことを患者様にお伝えしました、しかし、ご本人の強い希望で保存(歯を抜かずに残す)することに同意を得ました。

まずは、穴の空いたところ、穴の空いていないところをはっきりさせるために、全体を綺麗にしていきます。またその穴から歯の外へ材料を押し出してしまっていたので、それをできる限り取り除きました。

綺麗になったところで、大きく空いてしまっている穴をMTAセメントで封鎖をし、その後本来の根管にMTAセメントを詰めました。その後から患者様は以前のような違和感が消失したとおっしゃっていました。

今のところ、経過は良好で、保存できています。

このような他院でのトラブルにも対応させていただきます。お気軽にご相談ください。